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一週間たった昼休み。
のど飴は、もうなかった。
終わっちゃった。袋も、味も、数える理由も。
非常階段でお弁当を広げながら、あたしはその事実を何度も頭の中でなぞる。
終わったんだから。
約束通り、消さなきゃ。
スマホを開く。
指先が、ほんの少し冷たい。
“佐野朱李”
履歴は、ずいぶん下のほうに追いやられていた。
スクロールするたびに、知らない名前――いや、知ってるはずの男の名前が次々と流れていく。
誘い。他愛ない会話。スタンプ。褒め言葉。
佐野の存在なんて、最初からなかったみたいに。
あたしの履歴は、他の男ばかりでぎっしり埋まっていた。
……心底、滑稽だと思った。
いらなかった。
全員。
こんなに並んでいるのに、どれひとつ、胸に引っかからない。
佐野を消すなら、いっそ全員消してしまいたかった。
履歴ごと、過去ごと、全部。
スマホを持つ手が、はっきりわかるくらい震える。
深呼吸しても、止まらない。



