ロマンスに、キス




佐野と連絡先を交換したのは、あの日だったから、履歴にはたった3通しか残っていない。


〈今どこ?〉
〈もう着く〉
〈早く来てよ〉


待ち合わせのときに交わした、それだけの言葉。

それだけなのに、画面をスクロールする指が、なぜか止まってしまう。


私の最後の返信は、いまだに未読のままだ。


生意気。


そう思って、鼻で笑う。


別に、返事をする義務なんてないのに。
それなのに、既読もつかないまま放置されている事実が、胸の奥に小さく引っかかって離れない。



あの人は、きっと何も考えていない。
スマホを見ていないだけか、見てもどうでもよくて、後回しにしているだけ。



わかっているのに、腹が立つ。
期待していた自分が、いちばん腹立たしい。



優くんとも、やっぱりあれから会っていなかった。



〈また遊ぼうね。今日はありがとう〉



そんなメッセージを、優くんは変わらずマメに送ってきてくれている。
丁寧で、優しくて、何も悪くない文面。


運転ありがとう、くらい返せばいい。
それだけでいいのに。