負け犬のメイサちゃんは100日後に本当の恋を知る

 放課後、藤也との勉強を終えて昇降口に向かう。

 下駄箱には、先週と同じく何枚かの手紙が突っ込まれている。

 靴と一緒に取って、ポケットに突っ込もうとしたら、藤也に腕を掴まれた。


「見せろ」

「見て楽しいもんじゃないよ」

「なら、余計に見せろ」


 藤也の顔は険しくて、きっと隠しても意味ないんだろう。


「わかった」


 受け取っても、藤也の顔はとくに変わらない。


「いつから?」

「先週の、水曜から」

「言えよ、ばか」


 紙をポケットにしまうと、藤也が手を伸ばした。

 私はされるがままに腕を引かれて、抱きしめられる。


「言えないよ、こんなの」

「一人で抱え込まれた俺の気持ちも考えてくれよ。今日で90日。あと10日。お前、勝つんだろ?」


 腕の力がゆるんだから、藤也の顔を見上げる。

 じっと瞳を見つめると、まっすぐに見つめ返された。


「じっと見られたら気になっちゃうって言ってたでしょ? なる?」

「なるけど、それより……いや、今は止めとく。帰ろう」

「してくれていいけど」

「ばーか、10日早えよ」


 もう一度ぎゅうっと抱きしめられて、体が離れる。

 離れきる前に、一瞬だけ顔が近づいた。

 思わず目を閉じる。

 鼻の頭に何かが触れて、すぐ離れた。

 目を開けると、藤也が笑って私を見てる。


「帰ろう。暗くなってきた」

「……うん」


 顔が赤いの、バレないといいな。

 藤也の手を掴む。

 まだ、鼻の頭が熱い気がする。