負け犬のメイサちゃんは100日後に本当の恋を知る

「はい、そこ座って。教科書全部出せ」

「あう」


 放課後の図書室で、私と藤也は向かい合って勉強をしていた。

 私は半泣きで、藤也は淡々と手を動かしている。

 学年末試験まであと1週間。

 卒業式前ということもあって、部活は全部休みだ。

 同じように勉強している人たちで図書室は賑わっていて、私も藤也もときどき友達から声をかけられた。


「メイちゃん、1年に教わってんの?」

「うん。私のハニー、優秀だから」

「須藤、勉強じゃなくてデートかよ。余裕~」

「じゃあ、俺の代わりにこの馬鹿犬先輩に三角関数の公式叩き込んでくれ」


 そんなやり取りをしているうちに、誰にも話しかけられなくなった。

 藤也のことが好きって自覚したけど、学年が違うと全然会わない。

 朝晩の部活の時くらいで、それもなくなっちゃって、こうやって2人でいられる時間は貴重だから、誰にも邪魔されたくない。

 でもって、私が留年しないためにも話しかけないでほしい。


「ねえ、ここさ」

「3ページ前の式を使え」

「なんでわかるのさ」

「なんでお前はわかんないんだ」


 怒られながら、頑張って進めた。

 やがて図書室が閉まる時間になる。


「帰るぞ」

「うん」

「嬉しそうにすんな。家でも勉強しろよ」

「見張っててよ」

「83日目だし、甘えるのが上手くなったな」

「ふふん」

「勉強も上手くなってくれよ」

「てへ」

「笑って誤魔化すな!」


 そう言いつつ、繋がる手は温かくて、やっぱり私はこの生意気な後輩が好きで仕方ない。