負け犬のメイサちゃんは100日後に本当の恋を知る

 今日は朝から曇ってて、帰りのホームルームが終わった途端に土砂降りになって、おまけに雷もすごい。


「マジか」

「メイちゃん傘ある? 私、忘れちゃったよ」

「貸すよ。私、折りたたみもあるし」

「ありがと~。折りたたみ、この前壊しちゃったから助かる!」


 昇降口で傘を貸して、友達を見送ってからスマホを取り出す。

 でもタップする前に、後ろから覗き込まれた。


「迎えに来たぜ、ダーリン」

「ありがと、ハニー」


 並んで昇降口を出たら、大雨だし、雷もすごい。


「やべーな。メイサ、こっちの傘に入れ。そんなしょぼい傘じゃ意味ねえだろ」

「でも、藤也が濡れちゃうし、風は吹いてないから大丈夫だよ」


 言いながら折りたたみ傘を広げたら、藤也が笑って私の鼻を突いた。


「ばーか。80日も経って、まだわかんねえのかよ。そんなん、手つなぐための言い訳だろ」

「じゃあ、お願い」


 藤也は傘を広げる。

 大きい、ちゃんとした傘だ。

 手をつないで外に出ると、いきなり雷が鳴り響いた。


「うひゃっ」

「ウケる。もうちょいかわいい声出せよ」

「そんなこと言われたって……わ、また……っ」


 ピカッと光って、すぐにゴロゴロ鳴り響く。

 さすがにずっと鳴ってると怖い。


「そんなに怖い?」

「だってずっと近くで鳴ってるんだよ」


 言い返した途端、藤也の手が離れた。

 文句を言う前に肩を抱き寄せられる。


「え、なに、歩きづらいけど」

「雷より、俺の心臓の音の方が近いし、うるさいだろ」

「……なんで?」

「なんでだと思う?」


 見上げた藤也は柔らかく目を細めている。

 ……答えを知ってる気がしたけど、間違ってるのが怖くて、言えなかった。