負け犬のメイサちゃんは100日後に本当の恋を知る

 放課後、カバンを持って立ち上がったら藤也が教室に顔を出した。


「よお、ダーリン。宿題めっちゃ出てるから、一緒にやってくれ」

「私もいっぱいある!」


 駆け寄って、一緒に図書室に向かう。


「あ、三枝さん、ちょっといい?」

「スミマセン、ハニーと宿題しなきゃなんで」


 途中で知らない先輩に声をかけられたけど、藤也の腕にしがみついて申し訳なさそうな顔をしておく。

 藤也がチラッと見たら引いてくれるの、ほんと助かる。


「背え高いの、いいね。助かる。私も身長と肩幅と筋肉がほしい」

「つーか、今のよかったの?」

「いいよ、たぶん告白だから」


 藤也の腕に掴まったまま図書室に行く。


「離さないと宿題できねえよ」

「なんか最近、藤也との距離感がよくわかんないんだよね。電話やニャインだと逆に寂しくなるときあって」

「……それ、どういう意味?」


 くっついたまま、図書室の窓際のカウンター席に並んで座った。

 藤也の方に椅子を寄せて、カバンから宿題を出す。


「わかんない。顔見たら嬉しいけど、手つないだり、頭撫でてもらうともっと嬉しい」

「お前さ、77日目にもなって、それが自分でなんだかわかんないの?」

「んー、うん。藤也とどんな距離感でいればいいか、わかんない」

「……じゃあ、俺の好きにしていい?」

「えっ?」


 手が重なって、ぎゅっと握られる。

 瞬きの音が聞こえそうなくらい近くなって、目が合う。


「俺は、これくらいがいいけど」

「えっと、わかんないけど、私もこれくらいだと嬉しいなあ」

「はー、生殺し」

「えっ」


 藤也は笑って、手を離した。


「ほら、宿題やるんだろ?」

「うん」

「そんな顔すんなよ。また帰りにな」

「……うん」


 どうして手が離れただけで、こんなに泣きたくなるのか、自分でもわからなかった。