負け犬のメイサちゃんは100日後に本当の恋を知る

 部活の後、藤也と並んで駅まで向かう。

 寒いから、途中で飲み物を買った。


「ほら」


 藤也はココアの蓋を開けて、渡してくれた。


「ありがと」

「今日で73日だけど、明日、なんかしたいことある?」

「あのね、映画観たい。これなんだけど……」


 スマホを見せると、藤也が屈んで覗き込んだ。


「いいけどさ、メイサ、今日3年に告られてなかった?」

「見てたの? 大学受かったんだってさ」

「なのに、俺とこんなべた甘な恋愛映画観に行っていいわけ?」


 藤也はスマホを見たまま唇を尖らせていた。


「別にいいでしょ、断ったし」

「なんで? 恋愛強者になりたいんじゃないの?」

「好きでもない人と付き合うのは、違うよ」

「……そだね」

「あのね、映画館の下のカフェでコラボメニューしててね、カップルじゃないと頼めないんだって」


 そう言うと、藤也はさらに不機嫌そうな顔になった。


「俺と、カップルメニュー頼むのはいいんだ」

「うん。藤也と行きたいな」


 真っ直ぐに、藤也の目を見る。

 しばらく睨み合いみたいになったけど、藤也が先に目を逸らした。


「ったく、そこでキス待ち顔でもできりゃかわいいのに」

「キス、したかった?」

「ばーか、調子に乗んなよ」

「ココア、飲む?」

「……飲む」


 飲みかけのココアを渡す。

 藤也は一口飲んで、「甘……」と笑った。