負け犬のメイサちゃんは100日後に本当の恋を知る

「寒すぎて手が痛い!」


 今日は朝から雨で、サッカー部も園芸部も休み。

 ホームルームを終えて、藤也と並んで歩いてるけど、傘を差してる手が冷たい!


「おい、こっちの傘入れ」

「え、でも濡れるでしょ」

「俺の傘なら2人入れるし、くっついてたら多少寒さがマシになるだろ」

「じゃあ、お邪魔します」


 傘を閉じて、藤也にくっつく。

 肩を抱き寄せられて、ぴったりくっついて、え、どうしよう。

 どうしようもないけど……。

 こういうときに限って信号が全部赤。


「手がかじかんでるから、つないでくれ」


 藤也は傘を外側の手で持って、内側の手の手袋を外す。

 私の手袋も取ったら、指を絡めてコートのポケットに入れた。


「ちょ……」

「練習」

「なんの?」

「なんのだと思う?」


 言い返す前に信号が変わった。

 絡んだ指が、きゅっと握られて、熱い。

 やっと駅についたのに、藤也は手をつないだまま、片手で器用に傘を閉じた。


「帰るから、離して」

「お前と、手えつないでないと寒いから、離したくない」


 藤也はじっと私を見てる。

 マフラーで顔が半分隠れてるから、どんな顔か、よくわからない。


「寒いけど、あの、明日も一緒に帰ろう」

「うん」

「で、土日はデートの練習しよう」

「うん」

「今日で72日。明日になったら73日。えっと、楽しみにしてる」

「……明日、俺と会えるのをってこと?」

「うん。だから、今日は帰る」

「わかった。また明日」


 手が離れて、私のほっぺたに触れる。

 私だって温かい手を離したくないけど、きりがないから我慢して離れた。

 何度も振り返る藤也がバスに乗るまで、手を振って見送った。