負け犬のメイサちゃんは100日後に本当の恋を知る

 休み時間、地学室に向かって歩いてたら、反対からノートを抱えた藤也が歩いて来た。


「あ、とう――」


 上げかけた手が止まる。

 藤也の隣には小柄な女の子が歩いていて、同じようにノートを運んでる。

 前に一緒に運んでくれたけど、誰にでもやってるんだ。

 まあ、そりゃそうか。

 手をきゅっと握って、教科書とノートを抱え込んだ。


「あ、メイサ!」

「あー……」


 私に気づいた藤也が笑顔で覗き込んできた。

 ……私は、うまく笑顔が作れない。


「どした? 元気ない?」

「ん、ううん。そういうわけじゃ、ないよ。えっと、移動中だから、またね」

「メイサ」

「なに?」

「相変わらず、下手くそだね、お前は」

「えっ」


 藤也はニヤッと笑って屈む。

 耳に藤也の息がかかってゾクッとした。


「日直なんだ、今日。隣にいるのは日直でペアの子」

「あ、そうなんだ」

「今日で71日。帰り、アイス食べて帰ろ」

「この寒いのに?」

「俺がいくらでも温めるからさ」

「セクハラじゃん、ばか。二段のやつ、半分こしたい」

「80点」


 またニコッと笑って、藤也はノートを持ち直して歩いて行った。

 うーん。

 バレバレで恥ずかしいけど、飼い主だし仕方ないか。