負け犬のメイサちゃんは100日後に本当の恋を知る

「腕が痛てえ」

「あはは」


 朝練中、水飲み場にホースをつなぎにきた藤也が泣き言を言うから、つい笑ってしまった。

 昨日は午前中ずっとバッティングセンターでバットを振って、午後は近所の大きな公園をぶらぶら散歩した。

 私は部活で重い物を運ぶし、友達とバッティングセンターやボウリングにもよく行くけど、藤也は初めてなのに張り切りすぎたみたい。


 痛いという場所を触らせてもらう。

 熱はないから、温かいタオルを当てて軽くストレッチとマッサージをすれば、今日のうちに痛みは引くだろう。


「あとでマッサージしようか」

「さすが女マネ。そういうのできるんだ」

「もちろん。任せて」


 そう言うと藤也が目を細めた。


「62日も経つと、あんたが笑ってると安心するわ」

「え、それ、どういう意味……?」

「自分で考えろ。ほら、走ってた連中、帰ってきたぞ」

「あ、うん。朝練終わったら、待っててね!」


 ひらひらと手を振る藤也と分かれて、サッカー部の方に戻った。