負け犬のメイサちゃんは100日後に本当の恋を知る

 音楽室に向かう途中で、1年生の集団とすれ違った。


「あ、藤也ー、今日自転車?」

「いや、バス」

「じゃあ帰りにメックで宿題教えて」

「58日経ったのに、1年生に教わろうとすんなよ。ナゲットとコーヒーな」

「あとアップルパイ半分つける」

「はいはい」


 「あとでねー」と手を振って、先に行った友達を追いかける。

 音楽室で並んで座ると、友達はニヤニヤ笑いながらこっちを見てきた。


「メイちゃん、彼ぴとラブラブじゃん。どこまでいった?」

「彼ぴじゃないよ」

「は? あんだけべったりなのに?」

「うん、付き合ってない。毎日手つないで一緒に帰ってるし、2週に1回くらいデートもしてるけど、彼ぴじゃないんだよ」

「ええ、なんで?」

「さあ? 互いにそういう感じじゃないからかなあ」


 そもそも藤也が私をなんだと思ってるのかよくわかんないし。

 たまにそれっぽいことを言われるけど、結局茶化されて終わるし。


 ……私も、藤也に自分の何になってほしいのか、言ってない。

 彼氏になってほしいのかなあ。

 そしたら、何か変わるのかなあ。

 少なくとも恋愛弱者からは脱出できそうだけど、そのために彼氏になってもらうのは、なんか違う気がする。


「メイちゃんがそうでも、須藤くんもそうとは限らないじゃん」

「……うん」


 ほんと、58日経っても、私はどうすればいいのかわからないままだ。