負け犬のメイサちゃんは100日後に本当の恋を知る

「おはよー」

「おー」


 駅前で藤也と待ち合わせて、ショッピングモールに向かった。

 バスで並んで座ったら、藤也が私の頭に顔を寄せた。


「あ、こないだ買ったヘアオイルつけてる?」

「うん。どう?」

「いい匂いする」

「もっと褒めていいよ」

「15点」


 藤也は笑いながら私の手を握った。


「デートの練習なら、それっぽいことしねえと」

「手えつないで買い物して、あとは?」

「映画とか、シェアハピとか、家デート?」


 お家デート!

 自分の部屋に藤也がいるのはちょっと想像できないな。

 近すぎるとそわそわしちゃうし。


「練習でお家デートはやり過ぎじゃない?」

「そうだな。俺も襲われたくねえし」

「は? そっちが襲う側でしょ」

「なに、メイサちゃんは俺に襲われたいの? 54日も経ったし、積極的でいいんじゃない?」


 ニヤッと笑って藤也が私を覗き込む。

 顔が、近い!


「そ、それは練習じゃなくて本番がいいな」

「お前、自分で言ってる意味わかってる?」


 藤也が顔を赤くしてそっぽを向いた。


「えっ、練習でキスとか、そういうのは違うと思うんだけど」

「……馬鹿。ばーか!」


 空いてる手で鼻をきゅっと摘ままれた。


「いひゃっ」

「ほんと、ばか」


 鼻を摘まんでいた手が、唇にちょっと触れて離れた。