負け犬のメイサちゃんは100日後に本当の恋を知る

 昼前、サッカー部の練習を終えて、コーンやボールを片付ける。

 倉庫の鍵をかけて職員室に向かう途中で須藤を見かけた。


「じゃあ、私はお先に」

「へいへい、お疲れ様っす」

「ごめんね、鍵任せちゃって」

「お気になさらず。彼氏さん待ってるんでしょ」


 須藤はひらひら手を振って、柊ちゃんを見送った。

 柊ちゃんは小走りで校門に向かっていく。


「なーに、覗き見してるんすか?」


 クルッと振り向いた須藤が私をジロリと見た。


「し、してないし!」

「なに? 俺らもデートする? 4日目だしさ」

「しないよ!」

「じゃあ、とりあえず背筋伸ばして、顔上げろ。背中丸めてたらマジで負け犬だぞ」

「うっ、うん……」


 須藤に覗きこまれて、慌てて体を起こす。

 前を向くと、少しだけ視界が明るくなった気がした。


「じゃ、行こう」

「えっ、どこに?」

「職員室。鍵返しに行くんじゃねえの?」

「そうだった」


 少し前を歩く須藤の背中を見た。

 ……気づかなかったけど、こいつデカいな?


「あんた、身長いくつあんの?」

「180センチ」

「でか……」

「親がでかいんだよ。親父は俺よりもっとデカいし、母親も175って言ってたかな」

「わあ」


 見上げた須藤の顔は下からだとよく見えなかった。

 どんな顔を、してるんだろう。