詩音と海と温かいもの

 一月終わりの土曜日の朝。

 俺、川瀬匠海は地獄みたいな苦しみを味わっていた。


 俺は自分の部屋で胡座をかき、ベッドにもたれかかっている。

 脚の上には三週間ぶりに会った詩音ちゃんが跨って、俺にしがみついていた。

 詩音ちゃんの尻が思いっきり下半身に乗っていて、たまにもぞもぞ動かれるのが本当に辛かった。ゴツめのジーパンをはいていて良かった。そうじゃなかったら、バキバキに勃ってるのがバレて、気まずいどころじゃなかった。俺の下半身って、こんなに硬くなるんだな。それをもっと、最大限に生かせるときに知りたかった。


 昨日のうちにしこたま抜いたし(詩音ちゃんに会う前はいつもそうしている)、詩音ちゃんもスキニーデニムを履いていて直接触れてるとか、見えてるとかでもないから、まだしばらくは暴発せずにいられると思う。そうだといいな。


 詩音ちゃんは、この部屋に来てからずっとこの体勢で、俺の肩に顔を埋めてすすり泣いていた。


「詩音ちゃん」

「ん、な、なに」

「どしたのさ」

「た、匠海さん、充電してる」

「泣いてるけど」

「……嫌なこと、言われた」

「誰に?」


 泣き声混じりの言葉がポツポツと聞こえた。

 首元に息がかかるたび、落ち着かない気分になる。


「詩音ちゃん、今何歳だっけ?」

「え、えっと、十四歳」

「だよなあ」


 俺は十九歳。十九歳と十四歳っつうのは、犯罪臭がヤバい。三十九歳と三十四歳なら何ともないのに。

 できる限り、下半身に感じる柔らかい感触のことを考えないようにして、俺は詩音ちゃんの背中を撫でた。


「ごめん、えっと、嫌なことを言われたんだよな。誰に?」

「……クラスメイト。あの、匠海さん。聞いていい?」

「なに?」


 詩音ちゃんは俺の背中をぎゅっと抱きしめた。

 少ししてから、涙目でこちらを見上げる。

 こんな間近に涙目の美少女がいて、無防備に俺を見てるのに、キスしちゃダメなの、なんの修行だよ、ほんと……。


「た、匠海さんは、詩音にお金出してエッチなことしたいと思う?」