泣く泣く手を振って、寮に入る。
寮母さんに帰寮手続きをしてから、部屋に向かった。
「ただいまー」
ドアを開けると寧々子が出迎えてくれた。
「お帰り。ぎりぎりじゃーん」
「だってさあ」
そう言いながらドアを閉めようとしたら、すぐ後ろに人がいた。
「詩音、あれ、彼氏?」
「うわ、びっくりした」
そこにいたのは、同じクラスの珠紀だった。
といっても、クラスが同じってだけで、仲がいいわけじゃないんだけど。
「まさかパパ?」
「は? パパ? 違うよ。友達のお兄さん」
「やっぱパパなんじゃん」
珠紀がにたーっと笑った。
なんか、魔女みたいな笑顔で気持ち悪い。
「珠紀、止めなよ」
寧々子が鋭い声を出した。
「下品だし、失礼だよ」
「本当のことでしょう? あんな年上の男に冬休み中面倒見てもらってたんだ」
「そこまで年上じゃないけど……珠紀、どうした?」
全然ピンとこない私にイラついたのか、珠紀が眉をつり上げた。
「だからあ! さっきのロリコン男と冬休み中お小遣いもらってヤッてたんでしょって言ってるの!」
「ごめん、意味わかんない……何を?」
困ってたら、後ろで寧々子が吹き出した。
「あはは、ウケる。珠紀、全然相手にされてないし。あのね詩音。珠紀は、さっきの人があんたのパパ活相手じゃないかって言ってるの」
「はあ? ……えっ、ありえないし、気持ち悪いけど」
「じゃあ、なんであんなベタベタしてるわけ? おかしいでしょ!?」
「そう言われても……」
なんとなく、珠紀に匠海さんのことを教えたくなくて、言葉を濁した。
「私のママと、あの人のパパママが幼馴染みなんだよね。だから、まあ家族ぐるみの付き合いというか」
九割嘘だけど、一割くらいは間違ってないと思う。
怒っていた珠紀が、少し気まずそうな顔になった。
「さっきの人の妹が私たちと同い年なんだよ。文化祭にも兄妹で来てくれたし」
「そ、そうだっけ……?」
「来てたよ。私も挨拶したもん」
寧々子が呆れた顔でフォローしてくれた。
「ていうかさ、珠紀が正月に幼馴染みに振られたからって、詩音に八つ当たりするの止めなよ。ダサいし、いい分が下品だし。うちの学校でそういうこと大声で言うの、普通に退寮になるよ」
私たちの学校はいわゆる「お嬢様学校」だから、たしかにあり得る話だ。
あまりに下品な発言は内申が下がるし、親に報告がいく。
「あのねえ、珠紀」
せっかく寧々子が助けてくれたから、私も釘を刺しておくことにした。
「あの人、私の恩人だから、あまり失礼なこと言わないでくれる? それ以上言うなら、寮母さんや先生方、私の親にも報告が必要になるしね?」
半分くらいはったりだけど、目に見えて珠紀は青くなった。
「ご、ごめん……」
「うん。許さないから、次はないよ。気をつけてね」
「お口にチャック」とジェスチャーして見せたら、珠紀は怯えた顔で部屋を出て行った。
まあ、ドアを開けっぱなしでこれだけ騒いでいれば、明日の始業式の時には、噂は十分に広がっているだろう。
お嬢様校とはいえ、年頃の女の子しかいないんだから、口は災いの元なんだ。
ドアを閉めて荷ほどきを始めたら、寧々子が笑いながら手伝ってくれた。
「詩音、怒ってる?」
「うん。すごーく怒ってる。えっとね、噴火した」
「だよねえ」
さっさと荷物を片付けて、明日の支度を終わらせた。
寧々子と冬休みの間の話をしてから食堂に行ったら、私に気づいた珠紀が小さくなっていた。
私は性格が悪いから、「ザマーミロ」としか思えなかった。
寮母さんに帰寮手続きをしてから、部屋に向かった。
「ただいまー」
ドアを開けると寧々子が出迎えてくれた。
「お帰り。ぎりぎりじゃーん」
「だってさあ」
そう言いながらドアを閉めようとしたら、すぐ後ろに人がいた。
「詩音、あれ、彼氏?」
「うわ、びっくりした」
そこにいたのは、同じクラスの珠紀だった。
といっても、クラスが同じってだけで、仲がいいわけじゃないんだけど。
「まさかパパ?」
「は? パパ? 違うよ。友達のお兄さん」
「やっぱパパなんじゃん」
珠紀がにたーっと笑った。
なんか、魔女みたいな笑顔で気持ち悪い。
「珠紀、止めなよ」
寧々子が鋭い声を出した。
「下品だし、失礼だよ」
「本当のことでしょう? あんな年上の男に冬休み中面倒見てもらってたんだ」
「そこまで年上じゃないけど……珠紀、どうした?」
全然ピンとこない私にイラついたのか、珠紀が眉をつり上げた。
「だからあ! さっきのロリコン男と冬休み中お小遣いもらってヤッてたんでしょって言ってるの!」
「ごめん、意味わかんない……何を?」
困ってたら、後ろで寧々子が吹き出した。
「あはは、ウケる。珠紀、全然相手にされてないし。あのね詩音。珠紀は、さっきの人があんたのパパ活相手じゃないかって言ってるの」
「はあ? ……えっ、ありえないし、気持ち悪いけど」
「じゃあ、なんであんなベタベタしてるわけ? おかしいでしょ!?」
「そう言われても……」
なんとなく、珠紀に匠海さんのことを教えたくなくて、言葉を濁した。
「私のママと、あの人のパパママが幼馴染みなんだよね。だから、まあ家族ぐるみの付き合いというか」
九割嘘だけど、一割くらいは間違ってないと思う。
怒っていた珠紀が、少し気まずそうな顔になった。
「さっきの人の妹が私たちと同い年なんだよ。文化祭にも兄妹で来てくれたし」
「そ、そうだっけ……?」
「来てたよ。私も挨拶したもん」
寧々子が呆れた顔でフォローしてくれた。
「ていうかさ、珠紀が正月に幼馴染みに振られたからって、詩音に八つ当たりするの止めなよ。ダサいし、いい分が下品だし。うちの学校でそういうこと大声で言うの、普通に退寮になるよ」
私たちの学校はいわゆる「お嬢様学校」だから、たしかにあり得る話だ。
あまりに下品な発言は内申が下がるし、親に報告がいく。
「あのねえ、珠紀」
せっかく寧々子が助けてくれたから、私も釘を刺しておくことにした。
「あの人、私の恩人だから、あまり失礼なこと言わないでくれる? それ以上言うなら、寮母さんや先生方、私の親にも報告が必要になるしね?」
半分くらいはったりだけど、目に見えて珠紀は青くなった。
「ご、ごめん……」
「うん。許さないから、次はないよ。気をつけてね」
「お口にチャック」とジェスチャーして見せたら、珠紀は怯えた顔で部屋を出て行った。
まあ、ドアを開けっぱなしでこれだけ騒いでいれば、明日の始業式の時には、噂は十分に広がっているだろう。
お嬢様校とはいえ、年頃の女の子しかいないんだから、口は災いの元なんだ。
ドアを閉めて荷ほどきを始めたら、寧々子が笑いながら手伝ってくれた。
「詩音、怒ってる?」
「うん。すごーく怒ってる。えっとね、噴火した」
「だよねえ」
さっさと荷物を片付けて、明日の支度を終わらせた。
寧々子と冬休みの間の話をしてから食堂に行ったら、私に気づいた珠紀が小さくなっていた。
私は性格が悪いから、「ザマーミロ」としか思えなかった。



