詩音と海と温かいもの

「お兄ちゃん、おはよー」

「匠海さん、おはよう」

「おう、二人とも、おはよ」


 俺、川瀬匠海は駅前で妹の美海と幼馴染の夜と待ち合わせていた。



 今日は詩音ちゃんの通う中学で文化祭だ。

 中学の文化祭といっても、中高一貫校で高校と合同開催だから、なかなか豪華なものらしい。

 それに女子校だから行きたい人がたくさんいるらしいと、大学の友達に聞いた。


「ま、え、川瀬、あそこの文化祭行くの!? マジかよ、連れてけよ」

「やだ。つーか無理。入校証の申請、出したって言ってたし」

「いーなー、俺も女子校で深呼吸したい。あわよくばちやほやされたい」

「学生は制服、大学生以上はスーツ必須だってさ」

「ひえー、ちゃんとしてる」


 キモいことを言う友達を鼻で笑ったのは、一週間くらい前のことだ。



 美海と夜と三人でバスに乗り、詩音ちゃんの通う中学へ向かった。


「去年もそうだったけど、制服で来るの嫌なんだよね」

「なんで?」

「ダサいから」


 美海が渋い顔で言った。

 わからんではない。

 でも、詩音ちゃんが着ているやたらとおしゃれな制服と比べたら、だいたいの制服はダサく見えるのは仕方ない。


「美海はいつでもかわいいよ」

「そういう問題じゃないの!」


 相変わらず美海に甘い夜に呆れているうちに、バスは山の上まで来ていた。

 三人で入校手続きを済ませて、詩音ちゃんのクラスへ向かった。