詩音と海と温かいもの

「じゃあまた、再来週」

「うん、またね」


 俺、川瀬匠海は、寮に入っていく詩音ちゃんを見送った。

 そのまま五分くらい、ぼんやり突っ立ってたけど、バスが来たから乗って帰った。

 まっすぐ部屋に戻る気になれなくて、本屋や百均、スーパーをふらついて、暗くなってからやっと戻った。


「うーん」


 思った以上に寂しかった。

 部屋の明かりをつけた。

 ベッドとローテーブルが置かれていて、床にクッションが散らかっている。

 開いたままのカーテンを閉めて、上着を脱いだ。

 床に捨てると詩音ちゃんに拾わせちゃいそうだから、ちゃんとハンガーに掛けておく。

 突っ立ってると凹みそうだったから、さっさとシャワーを浴びた。

 パジャマ代わりのシャツとジャージを着たら、さっきつけた明かりを消して、ベッドに倒れ込んだ。

 布団を被って目を閉じても、一人きりのベッドがやたらと広くて、全然眠れなかった。



 俺と、あの子は結局なんなんだろう。

 付き合ってはいないから、あの子は俺の彼女ではない。

 あの子は俺を好きだと言って、付き合いたいと、キスがしたいのだと言っていた。

 でも、あの子は中学生だし。大学生が中学生に手え出したら犯罪なんじゃねえかなあ、ってことで、自重した。

 できてなかった気もする。

 散々キスをねだられて、それくらいならいいんじゃん? って思う自分もいたけど、それだけで止められる気がしなかった。

 たぶん俺は、がっついちゃうし、めちゃくちゃしちゃうと思う。

 なんつーか、自分の抑制を信用できない。

 まあ、「詩音のこと、待っててね」って言ってたしな。

 待ってますとも。