「白石のバカ!」
タクシーが先に私の家に到着してすぐ、私は車から降りて白石にそう叫んだ後、走って自分のマンションへ戻った。
ガチャッと大きな音を立てて玄関の扉を開けてすぐ、誰もいない冷たくて暗い部屋が私を出迎える。
今日は一気にいろんなことがありすぎた。
私はその場で力尽きて、ヘナヘナとその場にしゃがみ込む。
「疲れた……お風呂に入ろう」
どうにか最後の気力を振り絞って立ち上がって、家中のカーテンを閉めてまわる。
そして四二度の熱々のお湯に浸かって、今日起こったたくさんのことを頭の中で一つずつ整理していく。
商談のこと、これから始まる大型プロジェクトのこと。
莉里ちゃんのお願いごとに白石のこと、そして──……北ヶ瀬さんのこと。
彼の隣にいた、綺麗な女性。
あんな高級レストランで一緒にディナーを共にするって、いったいどんな関係だというの?
「あー!ダメダメ!これ以上考えたってダメ!一旦リセットしなくちゃ、頭パンクしちゃう!」
パシャパシャとお湯を顔にかけて気を紛らわそうとしても、目を瞑った先に出てくるのは北ヶ瀬さん達二人が並んでいたあの光景。
「お似合い、だったなぁ。……って、あれ?」
私、北ヶ瀬さんに何を望んでいるの──?



