「ここ半年、女遊びしてない」
「はい嘘だね」
「嘘じゃねぇ、これ結構マジ」
「なんで?もしかしてどこか……病気なの?」
「しばくぞ」
白石が、女遊びをしていない?
あのスケコマシが?あの根っからの女たらしが?
目を大きくして驚いている私を放置して、次々にテーブルに運ばれてくる料理を並べていく白石。いったい何があったというのだろうか。
「俺達もうすぐ三〇だろ?そろそろ遊んでばかりもいられないだろ、いろいろと」
「それは世間体的な意味で?それとも精神的な問題?」
「んー、世間体もあるし、だんだん面倒になってきた感じか?」
「分かるかも、その面倒くさいっていう気持ち」
また一から新しい出会いを求めて、連絡先を交換して、少しずつその人の為人を知っていくためにデートを重ねていく。
いくつも乗り越えなくちゃならないフェーズを一つずつ熟していく労力が今の私にはない。
もっとも、白石の場合は私とは少し違うのだろうけれど。
「高野は?今どうなってんの?」
「わ、私は──……」
白石に話すのはいかがなものかと悩んだけれど、私はアプリを通して北ヶ瀬さんと友達関係にあることをかい摘んで話した。
変なやつだって言われるかな。それともアプリを使っていることに嫌悪感を示すだろうか。
辻村くんと別れてからの一連の流れを話し終えたあと、白石から出てくる言葉をいくつも想像していた。けれど本人の反応はまったく違うものだった。



