薔薇と初恋~10年間、ずっと守られていたなんて知りませんでした~



第5話「初めてのパーティー」



◯八神の家・真白の部屋(昼)


真白はベッドに寝転がりながら【パーティー 何する】とスマホで検索。

パーティーについて事前に調べていた。

他にも【パーティー 服装】【パーティー マナー】などいくつか検索する。


その中にダンスという単語を見つけた。


真白(ダンスって⋯⋯私が思ってるのとは別のダンスだよね)

真白の脳内には、アイドルが踊っているシーンが浮かぶ。

真白「違う、違う」

頭を振って脳内のイメージを消す真白。

真白「マナーは調べるとして、ダンスは私ひとりじゃどうにもならないな⋯⋯」

真白(このままだと樹さんに恥をかかせてしまう)

パーティー会場で下手なダンスを披露して周りの人たちに笑われる図を思い浮かべる真白。

真白「それだけは絶対にだめ!」

真白は勢いよく起き上がると、鮫島のもとへ向かった。

◯書斎

本を整理をしていた鮫島に声を掛ける真白。

真白「あの! 鮫島さん」

鮫島「社長ならここには⋯⋯」

真白「樹さんじゃなくて、鮫島さんにお話があって来ました」

鮫島「私に?」

鮫島は驚いた口調をしているが、表情はいつもと変わらない。

真白「実はかくかくしかじかで〜」

鮫島「なるほど。社長なら当日に真白さんをリードされるかと」

真白「それじゃあだめなんです。普段も甘えてばかりなのに、パーティーのときまで樹さんの負担になりたくないんです」

鮫島(負担なんて社長が思うはずがない。彼女だけには)


真白「鮫島さんもお忙しいとは思いますが、どうか力を貸してください」

鮫島(⋯⋯社長は彼女のこういうまっすぐなところを気に入っているんだうな)

深々と頭を下げる真白。

鮫島「わかりました。でも、やるからには妥協はしません。完璧を目指してもらいます」

真白「はい!」


それからパーティーまでの期間、鮫島によるダンスのレッスンが始まった。


◯ダンススタジオ(夜)

鮫島「背中が丸まってる!」

鮫島「下ばかり見ない」

鮫島「音楽を聴く」

厳しいレッスンの絵と、カレンダーがめくれていく絵。(日付の経過)



◯学校・教室

鮫島のスパルタ練習により疲れが顔に出ている真白。

乃亜「昨日も練習? 毎日よくやるよ」

真白「パーティーまであと少ししかないから」

乃亜「大変ね。でもイケメン社長の秘書と秘密のレッスンかー。ちょっと羨ましい。ねぇ、写真とかないの?」

真白「動画なら」

ダンスの練習用に撮っていた動画を乃亜に見せる真白。

乃亜「へーイケメンじゃん。今度、会わせてよ」

乃亜が上目遣いで真白を見る。

真白「う、うん。予定が合えばね。鮫島さん忙しい人だから」

真白(乃亜と鮫島さんが会話する絵って想像できないな⋯⋯)


◯リビング(夜)

パーティー前日、最後の確認をリビングでする真白と鮫島。

鮫島「これならパーティーでも問題ないと思います」

真白「なんとか間に合ってよかった。鮫島さんのおかげです。本当にありがとうございました」

鮫島「真白さんが頑張ったからですよ。明日、頑張ってくださいね」

真白「はい! あ、あのこれ」

真白はテーブルに置いていたチョコの入った紙袋を鮫島へと手渡す。

鮫島「これは一体⋯⋯?」

真白「レッスンのお礼です。樹さんに鮫島さんの好きなものを尋ねたら、チョコレートだって教えてもらいました」

鮫島「ありがとうございます。大切にいただきます」

真白「私のほうこそ今日もレッスンありがとうございました。それじゃあ、私は部屋に戻りますね」

真白が部屋に戻ったあと、リビングに八神が現れる。


八神「最近、コソコソしているなと思ったらダンスの練習をしてたのか」

鮫島「社長」

八神「俺に秘密にする必要はあったのか」

鮫島「真白さんが秘密にしていたようなので、私もそうさせていただきました」

八神「鮫島。必要以上に真白に触れていないだろうな」

八神が鋭い視線を鮫島に向ける。

鮫島「もちろんです」

鮫島(真白さんのことになると普段からは考えられないほど、余裕がなくなる人だ)

鮫島の貴重な笑顔。


◯パーティー会場(夜)

パーティー当日、真白は八神が用意したドレスに身を包み八神の隣を歩く。

八神「ドレス似合ってるよ」

真白「ありがとうございます。樹さんは⋯⋯今日も素敵です」

八神「それを言うなら真白ちゃんも毎日、可愛いけど。どこかに連れ去られないか心配なほど」

八神(出会った頃から、ずっと)

八神の眩しい笑顔にと甘い言葉に顔を真っ赤にして目をそらす真白。

八神「照れ屋なところも可愛いよ」

真白「も、もうやめてください。私はそういうこと言われ慣れてないんです」

八神「ふっ」

八神が真白を見て愛おしそうに笑う。


パーティーがスタート。

八神の挨拶に付き合い、緊張しながらも笑顔を浮かべる真白。

見たことのない料理に驚き、幸せそうな表情で食事を楽しむ真白。


ダンスの時間になり、八神は当然のように真白の手を取った。

真白(ついにこの時間がやってきた⋯⋯!)

真白は深呼吸をして、鮫島とのレッスンの日々を思い出す。

音楽に乗せて、八神と真白は踊った。

真白はレッスンのおかげで華麗なすてっさを踏む。

八神「上手だね」

真白「ありがとうございます。実は鮫島さんに教えてもらいました」

八神(隠しておけばいいのに。⋯⋯本当に素直だな)

真白と八神はダンス楽しんだ。





◯バルコニー

お手洗いに行っていた真白は八神の姿を探す。

パーティー会場にいる八神を見つけた真白は中へ戻ろうとする。

その時、すれ違った男の子に腕をつかまれた。


宮崎颯「椎名?」

宮崎颯《18歳、大学1年生。178cm。銀髪》


真白「──宮崎くん?」

真白は颯の顔を見て、驚いた表情を見せる。