中学生の時から殆ど変わらない、純恋。

変わったところといえば、この高校のバレー部の規則で短くなった髪の毛と、着ている制服くらいかな。

そして私は、さっきシャーペンを渡してくれるときに触れた純恋の手を思い出していた。

ふんわりと包み込むような、純恋の手。
優しい笑顔。

何もかも、変わっていなかった。

そして私は手の中に収められたシャーペンを見る。

これは、受験のときに一緒に頑張ろうねと約束して買った、純恋とおそろいのシャーペン。

それをそっと、ペンケースの中にしまった。

すると、私がペンケースにしまったタイミングで、丁度チャイムが鳴る。


「学級委員、号令」


前に立っている数学の教師がそういう。


「起立」


私はそれに反応し、すぐに号令をかけた。

号令が終わると、教室の空気がさっきよりもふっと緩む。

純恋と一緒にお弁当を食べなくなってから、私は一人でご飯を食べていた。

今日も一人で食べるために、机の中に教科書を直していると――


「陽葵」


さっきと同じ声に名前を呼ばれる。