片思いのアリス

 次の水曜日の朝。わたしは念入りに身だしなみチェックをしていた。
 今日も琴宮先生に課題を聞きにいくんだ。身だしなみはきちんとしなきゃ。

 私は伸びた髪を何度もくしでとかして、寝ぐせを直した。
 そして耳元にヘアピンをつける。

 よし、今日も身だしなみばっちり!

 わたしは今日も琴宮先生に会えるという喜びを噛みしめる。

 「行ってきまーす!」

 家を出ると、既に佐紀がわたしの家まで迎えに来ていた。
 佐紀とわたしは家が近いから、いつも一緒に登下校をしているんだ。

 「おはよー」
 「おはよう、佐紀!」

 わたしたちは学校に向かって歩き始めた。

 「ねえ、最近の1年生のバチバチ具合、やばくない?」

 佐紀がめんどくさそうに言った。

 「あーわかる。1年生のオーディションのせいだよね…」

 もう、琴宮先生にオーディションにと本当に忙しいよ。

 だけど楽器の練習の手を抜く訳にはいかない。
 でも楽器は音が響くから夜に家で練習するわけにもいかないし、普段の部活での練習で差をつけていかないと……。

 「でも佐紀はいいじゃん。小学校からやってるんだから、高見の見物でしょ」
 「まあね。でも、ゆいと一緒にコンクールの舞台に立ちたいな」

 そう言われると、やる気がわいてくる。
 わたしも佐紀と一緒にコンクールの舞台に立ちたい。一緒に金賞を獲りたい。
 
 「わたし、頑張るよ! 絶対にコンクール出場メンバーになる!」
 「おっ! その意気だよ! お互いがんばろ!」

 わたしは佐紀とハイタッチをした。
 もうすぐ学校に着く。今日も1日が始まる。