片思いのアリス

 その日の部活後、いつものように佐紀とわたしは一緒に帰っていた。

 「ねえ、告白するとき、一緒に何か渡すのはどう?」

 わたしが言うと、佐紀は考えるように手を口にやって、答えた。

 「うん、良いかも。クリスマスだしね」
 「わたしさ、フェルトでバイオリン作ったらどうかなって思ったんだ。ほら、よく運動部の子がやってるやつ」
 「ああ、良いんじゃない? それじゃ、寄り道して100均でも行く?」
 「そうだね! 行こう!」

 わたしたちの家がある住宅地を抜けた先に、100円ショップがあるんだ。
 わたしたちは早速そこへ向かった。

 最近は100円ショップにも手芸用品がたくさん置いてある。
 手芸コーナーに行くと、フェルトもたくさん置かれていた。

 「バイオリンだから、茶色だよね。せっかくだし、赤とか入れてみてもいいかも」
 「ふふ、ゆい、独創的だね。……あ、ストラップもちゃんと売ってるよ。ストラップにして渡したら?」
 「うん、そうする!」

 わたしは材料を買い込んだ。
 フェルトに綿、ストラップ、渡すときのラッピング袋……。

 「これで完璧だね」

 佐紀も満足げ。
 
 よし、クリスマスまでに、バイオリンのフェルトストラップ、作るぞ!



 それからクリスマスまで、わたしは部活動に勉強に琴宮先生にストラップ作りにと大忙しだった。

 わたしはあまり手芸が得意じゃなかったけど、動画サイトで見たりして研究して、なんとか完成させた。

 茶色いバイオリンの土台に、赤色の弦や模様が貼られている。
 バイオリンの土台の表と裏は、動画で勉強したブランケットステッチで縫ってみたんだ。
 最後に中に綿を詰めて、ふわふわの触感にした。

 ……琴宮先生、気に入ってくれるかな。

 クリスマスまであと一週間。
 明日がクリスマス前に琴宮先生と話せる、最後の日になる。

 告白のこと、言わなきゃ。琴宮先生に。

 その晩は全然寝付けなかった。

 明日琴宮先生に、「終業式の日の放課後、屋上まで来てください」って言うんだ。

 そう思うと、胸がドキドキして、目も冴えてしまう。

 わたしは得意の妄想をして乗り切ることにした。

 もし琴宮先生と付き合えたら?

 一緒にクリスマスマーケットに行こう。まだやってる場所もきっとあるよね。
 そしてかわいいオーナメントをおそろいで買うの。

 ……うん、だんだん眠くなってきた。

 明日、頑張って琴宮先生に言おう。