片思いのアリス

 そして迎えた月曜日。

 わたしはクラリネットを抱えて、いつものように佐紀と学校へ向かっていた。

 「どうですか? 練習の調子は」

 余裕そうに笑みを浮かべながら、佐紀はわたしに声をかけた。

 「目標はできたよ。『聞いている人が楽しくて踊りたくなるくらいに、息の合った楽しい演奏を届ける』。それに向けて練習してるとこ」
 「おお、いいじゃん。公民館のコンサートなんて地元の人や子どもも来るし、そういうのを目指したいよね」

 佐紀に同意されて、わたしは少し嬉しくなった。

 「でもアンサンブルって、奥が深すぎ……! 土日の猛特訓で楽譜は結構覚えられたんだけど、みんなと合わせるとき、うまくいくかなあ……」
 「楽譜を覚えられたなら、結構良い線いってるんじゃない? まわりに気を配れるといいね」
 「まわりに気を配る、か……。頑張るよ」

 たしかに、周りの人がどう吹きたいかとか、気にした方が合わせやすいかも。
 やっぱりアンサンブルは奥が深い。

 「今日の部活でクラリネットパートで合わせするんだ。そろそろ本番も近いし、今度は怒られないようにしないと……」
 「『もう少しクラリネットの方も頑張ってくれない?』だっけ? なかなかきついこと言うよねー」
 「やめてよ、わたしもうトラウマになってるんだから……」

 それからもどこのアンサンブルのチームが一番うまいとか、そんなことを話しながら学校に向かった。