片思いのアリス

 文化祭は大盛り上がり。
 
 生徒のお父さんやお母さん、そして新緑学園に受験を考えている小学生もたくさん来ている。

 中学1年生のフロアにやってくると、クラスごとにたくさんの出し物が行われていた。

 あるクラスは縁日、あるクラスは劇、喫茶店、自作映画の上映……。

 わたしたちは佐紀が行きたがっていた縁日に向かっていると、突然佐紀が声をかけられた。

 「ちょっと佐紀ちゃん! このあとシフトだよ!」
 「え!?」

 なんとしっかり者の佐紀が、うちのクラスのシフトを忘れていた。珍しい……。
 ちなみにうちのクラス、1年2組はたこ焼き屋さん。
 わたしはコンサートがあるから、シフトは昨日にまとめて入れていたんだ。

 佐紀、今日シフト入れちゃってたんだ……。

 「ごめんゆい! わたし行ってくる!」
 「あ、うん!」

 突然わたしは急にひとりぼっちになってしまった。

 どうしよう、すっかり佐紀と文化祭を周るつもりだったから、他の友達とも何も約束してないし……。

 わたしはしばらく何もできず、ぽつんと廊下に佇んでいた。

 ――そんなわたしに、救世主が現れた。

 「あれ? 有栖さん?」

 そ、その声は!

 「琴宮先生!?」

 琴宮先生がわたしの後ろに立っていた。

 「有栖さん、1人で周ってるの?」
 「いや、急に1人になっちゃったっていうか……」

 琴宮先生はぽかんとした顔をしたあと、にこりと微笑んだ。

 「僕も1人なんだ。良かったら一緒に見て回らない?」

 えーーーーー!?
 い、いいんですか!?

 わたしはたぶん顔を真っ赤にした。
 いいの!? そんなご褒美みたいなことが起きちゃって!

 「だめかな?」

 琴宮先生は眉を下げて心配そうな顔をする。
 くーっ、この顔もすてき。

 「だめじゃないです! ぜひ! お願いします!」

 こうしてわたしは、なんと、琴宮先生と文化祭を見て回ることになった。