片思いのアリス

 結果発表の時間になった。

 各学校の生徒がホールの客席に集められて、今か今かと結果を待っている。
 それぞれの学校が、次々に結果を発表されていく。

 銅賞、銀賞、銀賞、銅賞……。

 金賞はなかなか出ない。やっぱり狭き門なんだ。

 ……いよいよわたしたちの番になった!

 『えー、新緑学園中等部吹奏楽部』

 わたしたちはみんな祈るように指を組んだ。

 お願い、金賞!


 『新緑学園中等部、銀賞』


 ……え?

 今、銀賞って言った? ……金賞の間違いじゃなくて?

 わたしはぽかんと口を開けることしかできなかった。

 ……金賞、獲れなかったの?

 傍では先輩たちがみんな泣いている。横に座っている佐紀も泣いている。

 ――何がいけなかったんだろう……。

 初心者のわたしには全然わからなくて、涙すら出なかった。



 電車での帰り道、わたしと佐紀は隣り合って座っていた。

 珍しく佐紀はずっと泣いている。

 「佐紀、そんなに泣かないで」

 佐紀はわたしの方を見て、目を腫らしながら言った。

 「わたしだって、練習のときは金賞獲れるかもって思ってた……! でも、本番、何かが違うって思ったの。その『違う』が、何かわからないの……。それがくやしくて……」

 わたしは、佐紀に何も言葉を返すことができなかった。

 その後、ただわたしと佐紀は、楽器を抱えながら、電車に揺られていた。