その日の帰り道、わたしは佐紀に早速夏期講習のことを報告した。
「琴宮先生、夏期講習してくれるって!」
「へー。良かったじゃん」
「毎週水曜日、先生と2人っきり! 佐紀は大学生との恋は成立しないって言うけど、これならきっと恋も叶っちゃうね!」
「はいはい」
佐紀は冷めた目で、髪をファサ、となびかせた。
「それより、コンクールでしょ。金賞獲るために、もっと練習してかないと」
「うう……それもそうかも……。……佐紀としては、今の合奏、どう思う?」
「楽譜をかじりつくようにずっと見ている人が多すぎ。特に1年生。譜面は覚えて、もっと指揮を見て、合わせていかないと」
ひー、厳しい。
でもたしかに、わたしも譜面、全然覚えられてないや。
いったん譜面を閉じて吹いてみる練習でもしてみようかな。
「でも、先月よりもずっとまとまってきた。このままいけば、金賞も夢じゃないんじゃない?」
「おお! わたしも頑張るよ!」
「ふふ、わたしも」
わたしと佐紀はハイタッチした。
今週の金曜日が1学期の終業式。夏休みが始まる。夏休みには琴宮先生との夢の夏期講習!
そして8月の下旬がコンクール。あと約1ヶ月。気を引き締めないと。
わたしは2つの気持ちをかかえながら、夏休みを迎えるのだった。


