片思いのアリス


 そしてやってきた水曜日。しかも夏休み前最後の水曜日。

 わたしはいつも通り身だしなみばっちりで登校して、昼休みに職員室へ向かった。

 琴宮先生、いるかな? ……いた!

 「琴宮先生、こんにちは!」

 琴宮先生はパソコンで何かの作業をしていた。

 わたしを見て、琴宮先生は笑顔で挨拶を返す。

 「こんにちは、有栖さん。今日も何かわからないところがあるの?」
 「いえ、今日は、お願いがあって来たんです!」
 「お願い?」

 琴宮先生は首をかしげた。
 首をかしげている琴宮先生、ちょっと可愛いかも……!

 「夏休みに、夏期講習をお願いしたいんです!」
 「夏期講習?」

 うーん、と琴宮先生は腕を組んで首をかしげた。
 どうかな、オッケーしてくれるかな……。

 「もちろん良いよ。吹奏楽部の練習もあるのに、夏休みも勉強する意思があるなんて、素晴らしいことだよ」

 やったー! わたしの二大柱は守られた!
 わたしは心の中でそう叫んだ。

 「じゃあ、夏期講習も毎週水曜日。部活もあるだろうから、部活後の時間に1時間くらいやろうか。場所は有栖さんが1年2組だから、そこでいいかな」
 「はい!」

 1時間も琴宮先生と2人っきりになれるの!? しかも毎週!?
 わたしは胸のときめきが収まらない。

 絶対琴宮先生ともっと仲良くなれちゃうよ!

 「じゃあ、夏休みも水曜日に。部活も頑張ってね」
 「はい!」

 琴宮先生は笑顔でそう言って、パソコンに視線を戻した。
 
 わたしは浮かれきった気持ちで、職員室を後にすることにした。