天下無双なヴァンパイアは番を探し続ける

神牙夜翔はイラついていた。

理由なんて、知るか。
……いや、少しは分かっている気もする。けど、凛夜以外どうでもいい自分にとっては、それを考えるのがもう、めどくせぇ。

胸の奥がざわついて、無性に何かに当たりたくなる。で、当たってしまった自分にまたムカつく。
クソ、俺らしくもねぇ。

もともと、生徒代表とかいう意味不明な役を押し付けられた時点で、機嫌は悪かった。
けど今のこれは、それだけじゃねぇ。なんつーか、もっとこう……モヤモヤするやつだった。

で、気づけば──
俺は、白城沙音に当たっていた。

入学式のステージの上で見かけた時、なんか引っかかった。
視線が止まった。それだけのはずだったのに、どうにも頭から離れない。ずっと頭に残ったままだ。

だから、校門で待っていた。理由? 別に深い意味なんかない。ちょっと気になっただけだ。

……けど、現れたのは探してた本人じゃなくて、知らねぇ女子の群れ。
名前を呼ばれて、囲まれて、うるせぇ声が耳に刺さるようだった。

イラついてた気持ちに、見事に火がついたってワケだ。

あの女、なんなんだ。
別に特別でもねぇし、俺が気にする必要もねぇのに──

なのに、あいつの顔を見ると、ほんの少しだけ、ザワつきがマシになる気がした。
……まるで凛夜が戻って来た。ような感覚に陥れられる。

……気のせいだろ、きっと。

それに、俺は、凛夜の生まれ変わりを探してんだろ?
感情なんか、関係ねぇ……関係あるわけ、ねぇんだよ。

そんなほいほいと、現れないって俺も分かっているはずだろ?
……チッ、これ以上迷うんじゃねぇよ、俺。こんなの、浮気みてぇじゃねぇか。

モヤモヤした気持ちは今日一日中俺にまとりつく事になる。