天下無双なヴァンパイアは番を探し続ける


***


次に目覚めた時には、薄暗い場所にいた。

冷たい床の感触と、鼻を突くような鉄と埃の混ざった匂い。


体が重く、頭がぼんやりと痛む。


「……目が覚めた?」


そんな声が降りて来て、ビックっと体が反応する。


(ここはどこ? どうして私は……)


徐々に思考がクリアになってきて、いろいろな記憶も蘇ってくる。


女の子に呼ばれて……そういえば、腕を掴まれて……


いつ、どうやってこの部屋に運ばれたのかまるで思い出せない。

体も言うことを聞かず、力が入らない。


きっと、薬か何かで眠らされていたのだろう。


なんとか体を起こそうとするが、両手は背後で縛られ、足も動かない。

布かロープか……とにかく、がっちりと固定されている。


視線を上げると、目の前に立っていたのは──影牙学園の制服を着た、整った顔立ちの少年。

だが、目は赤く光っていた。


(……だれ? なんで影牙学園の制服……?)


「手洗い真似して悪かったね。白城さん(・・・・)


彼がそう言いながら一歩、また一歩と近づいてくる。

漆黒の中に血のような赤いメッシュが揺れ、どこか現実離れした存在感を放っていた。


──その姿を……どこかで見たことがある気がした。


(正確には、誰かと既視感があるような……)