声にならない声を絞り出したその瞬間、沙音の耳元で低く、冷たい声が響いた。
「お前が……僕たちの総長と親しい“人間”かぁ〜」
その声を聞いた瞬間、背筋がぞくりと震えた。
可愛い口調と思われるはずなのに、全く感情がなく興味がある……まるで新しい玩具を見つけたように言う、低い声。
目の前に現れたのは、赤い瞳と牙を持つ、異形の存在──ヴァンパイアだった。
明らかに、目の前のその存在は、教室にいる“ヴァンパイア”たちとは何かが違っていて。
整った鼻筋。フードの奥で静かに光る瞳。
彼の気配は、生き物というよりも、何かもっと“底のないもの”を感じさせた。
悪寒がして、鳥肌が立つ。
教室で見かけるヴァンパイアたちが理性を保った生徒だとすれば──
目の前にいるヴァンパイアは──まるで……まるで“本能だけで動く狩る者”だった。
「お前を連れて帰れば、“総長”も動くに違いない……そうだろう?」
その言葉とともに、沙音の視界は闇に包まれていった。
