数日後。
王宮に、彼宛の“見慣れぬ封蝋”の手紙が届いた。
差出人を見て、デクランは思わず息を呑む。
アルドレイン王国王妃――フィロメナ。
アルドレインという国は知っていたが、
国王はおろか王妃とは何の面識もない。
自分に何の用があるのだろう?
しかし手紙を開いた瞬間、
彼の心臓は激しく脈打ち始めた。
『はじめまして。
アズールティア王国デクラン王子殿下。
私はアルドレイン王国のフィロメナと申します。
あなたに知らせたいことがあり、
こうして筆を執りました。
突然のご無礼をお許しください。
ドノヴァン侯国ファティマ侯妃は
私の異母姉に当たります。
姉上は、現在ドラゴニア帝国にて軟禁されています。
皇帝クレオール陛下の命により、
自由を奪われているのです。
このことを誰かに託さねばと思い、
姉が信頼しているあなたにお伝えすることにしました。』
デクランの視界が揺れた。
(軟禁……? なぜ……?)
『戴冠式で姉と会いました。
わずかな時間でしたが言葉を交わすことができ、
姉はあなたとのことを話してくれました。
アズールティアで過ごした日々が、どれほど彼女の救いだったか――
それは、表情を見るだけで分かりました。
私の知っていた姉はいつも誇り高く、女王のような威厳を持った人でした。けれどあなたのことを話すときは、少女のように可愛らしく、幸せそうに目を細めていたのです。あのような姉を見るのは初めてでした。』
王宮に、彼宛の“見慣れぬ封蝋”の手紙が届いた。
差出人を見て、デクランは思わず息を呑む。
アルドレイン王国王妃――フィロメナ。
アルドレインという国は知っていたが、
国王はおろか王妃とは何の面識もない。
自分に何の用があるのだろう?
しかし手紙を開いた瞬間、
彼の心臓は激しく脈打ち始めた。
『はじめまして。
アズールティア王国デクラン王子殿下。
私はアルドレイン王国のフィロメナと申します。
あなたに知らせたいことがあり、
こうして筆を執りました。
突然のご無礼をお許しください。
ドノヴァン侯国ファティマ侯妃は
私の異母姉に当たります。
姉上は、現在ドラゴニア帝国にて軟禁されています。
皇帝クレオール陛下の命により、
自由を奪われているのです。
このことを誰かに託さねばと思い、
姉が信頼しているあなたにお伝えすることにしました。』
デクランの視界が揺れた。
(軟禁……? なぜ……?)
『戴冠式で姉と会いました。
わずかな時間でしたが言葉を交わすことができ、
姉はあなたとのことを話してくれました。
アズールティアで過ごした日々が、どれほど彼女の救いだったか――
それは、表情を見るだけで分かりました。
私の知っていた姉はいつも誇り高く、女王のような威厳を持った人でした。けれどあなたのことを話すときは、少女のように可愛らしく、幸せそうに目を細めていたのです。あのような姉を見るのは初めてでした。』



