デクランの4人の姉たちも
ファティマの見送りに来ており、
弟の心情を察して、そっと微笑む。
「弟よ、あなたもついに恋をしたのね」
「私たちの可愛いデクラン。応援するしかないわ」

船がゆっくりと港を離れると、
姉たちは弟に向かって励ましの声をかける。
「大丈夫よ、諦めないで」
「手紙を大切にね、デクラン」

デクランは姉たちに軽くうなずき、
心の中で決意を固める。
「いつか絶対に――」

ファティマも船の上で振り返り、
港に立つデクランの姿を胸に刻む。
「また必ず会える……その日まで」

港の景色が遠ざかる中、
二人の心は互いを思いながらも、
まだ距離に引き裂かれたまま。