辺境に嫁いだ皇女は、海で真の愛を知る

アズールティアの海風が
心地よく吹く初夏の朝。
ファティマはデクランの手をしっかり握りながら、
庭園を歩いていた。

「こうして穏やかに暮らせるなんて、夢みたいね」
ファティマの顔には、
どこか遠い戦いの日々を思い出す影があったが、
今はもう不安や恐怖はない。
「僕たちの未来は、これから自分たちで作っていけるんだ。もう何も恐れることはない」
デクランは優しく答え、
そっとファティマの頬に触れる。

かつては人妻としてのしがらみ、
侯国や帝国の陰謀に振り回されていた二人。
今は誰の目も気にせず、
互いの存在だけを確かめ合う時間がある。

庭園のベンチに腰を下ろすと、
国民たちが笑顔で挨拶をして通り過ぎる。
これまで見守ってくれた人々の温かさに、
ファティマは胸がいっぱいになる。

「ねぇ、デクラン。これから先もずっと一緒に……」
言いかけたファティマの言葉を、
デクランは柔らかく遮った。

「もちろんだ。君となら、どんな困難も一緒に乗り越えられる」

その瞬間、二人は自然に顔を近づけ、
長くて甘いキスを交わす。
互いの鼓動が重なり、
心からの安心と幸福が胸いっぱいに広がった。