ファティマがアズールティアで
それはそれは幸せな毎日を享受していた頃。
ドノヴァン侯国の城は、
朝から怒号で震えていた。
ファティマがいなくなってしばらく経つが、
依然として仕事は滞り、
城の者たちは怯えきっている。
そんな中、
ひとりの使者が
恐る恐るドノヴァン侯の前に
封書を差し出した。
「……教会からの書簡でございます」
不機嫌なまま封を切ったドノヴァン侯は、
書面を読み進めるにつれて
眉を吊り上げた。
そして一行読み終えるや否や、
椅子を蹴り飛ばす。
「ふざけるなッ!! どういうことだこれは!!」
そこにはこう記されていた。
“請願書を受理し、ドノヴァン侯とファティマ殿下の婚姻記録を教会の書庫より削除した。
両名とも合意の上と判断するため、この処置は撤回不可である。”
意味が飲み込めない。
理解したくない。
ファティマと離婚に合意した覚えはない。
怒り狂ったドノヴァン侯は
大司教のもとへ乗り込む。
「どういうことだ!! 私は離婚など認めていない!!」
しかし大司教は淡々と返すだけだった。
「あなたがファティマ様を蔑ろにされていたのは、教会も存じております。
婚姻関係が破綻していたのは周知の事実。
それに……あなたには別に愛する女性がいるのでしょう?
双方同意で請願書を出されたものと判断いたしました。」
それはそれは幸せな毎日を享受していた頃。
ドノヴァン侯国の城は、
朝から怒号で震えていた。
ファティマがいなくなってしばらく経つが、
依然として仕事は滞り、
城の者たちは怯えきっている。
そんな中、
ひとりの使者が
恐る恐るドノヴァン侯の前に
封書を差し出した。
「……教会からの書簡でございます」
不機嫌なまま封を切ったドノヴァン侯は、
書面を読み進めるにつれて
眉を吊り上げた。
そして一行読み終えるや否や、
椅子を蹴り飛ばす。
「ふざけるなッ!! どういうことだこれは!!」
そこにはこう記されていた。
“請願書を受理し、ドノヴァン侯とファティマ殿下の婚姻記録を教会の書庫より削除した。
両名とも合意の上と判断するため、この処置は撤回不可である。”
意味が飲み込めない。
理解したくない。
ファティマと離婚に合意した覚えはない。
怒り狂ったドノヴァン侯は
大司教のもとへ乗り込む。
「どういうことだ!! 私は離婚など認めていない!!」
しかし大司教は淡々と返すだけだった。
「あなたがファティマ様を蔑ろにされていたのは、教会も存じております。
婚姻関係が破綻していたのは周知の事実。
それに……あなたには別に愛する女性がいるのでしょう?
双方同意で請願書を出されたものと判断いたしました。」



