辺境に嫁いだ皇女は、海で真の愛を知る

デクランとファティマにお構いなく、
姉たちのマシンガントークは続く。

「初デートは今日が正式なのかしら?」
「手はいつからつないだ? 自然? どっちから?」
「デクラン、ちゃんと気持ちは伝えた?
ファティマさんを不安にさせてない?」
「キスはー??」

容赦のない質問の嵐に
ファティマはお手上げ状態。
デクランも頭を抱える。

しかし姉たちの表情は本当に嬉しそうで、
からかいながらも
二人の幸せを心から願っているのが伝わる。

その空気を感じたファティマは胸が熱くなる。

今まで“家族の温かさ”を感じることなどなかった彼女。
でも今、
こうしてデクランの家族に囲まれ、
笑われ、祝福され――

気づけば目が潤んでいた。