辺境に嫁いだ皇女は、海で真の愛を知る

ファティマがアレイオンに乗って
ヴァリニアを去ってから数日後、
デクラン一行――レオナード、ジョサイア、カーティス、マリナ――
もそれぞれの役目を終え、
アズールティアへと帰国した。

旅から戻った彼らを迎えたのは、
デクランの四人の姉アリアンヌ、ベリル、セレナ、ルチアだった。

レオナードから帰国するという連絡を受け、
姉たちは可愛い弟の帰りを
今か今かと待っていたのだ。
そして、
デクランがファティマを連れて帰ってくるものだと、
姉たちは当然のように思っていた。

けれど――ファティマの姿はない。

アリアンヌ「……ファティマ様は?」
ベリル「途中で何かあったのかしら?」
セレナ「いや、弟は怪我もないし……」
ルチア「……聞きにくいわね」

本当はぐいぐい聞きたい。
でも、彼の顔にわずかに残る疲労と、
どこか遠くを見ているような目を見てしまうと、
誰も踏み込むことができなかった。

姉たちは“知りたい”気持ちをそっと飲み込み、
距離を置いて弟を見守ることにした。