辺境に嫁いだ皇女は、海で真の愛を知る

教会の扉を押し開き、外に出る。
涙の跡は風に乾き、
ファティマの表情には強い意思だけが残っていた。

「もう二度と……あの人の影に怯える必要はない。」

心から愛した人のもとへ行く。
自分の意志で、自分の幸せを選ぶのだ。

心にはデクランの顔が浮かぶ。

怒った顔。
呆れた顔。
優しく笑う顔。
真剣に自分を守ろうとしてくれた時の声。

そのすべてが胸を温かくし――
ファティマはそっと呟く。

「待っていて。私、今度こそ……あなたのもとへ帰るから。」

その瞬間、
彼女は“被害者”ではなく、
自分の未来を奪い返す“英雄”になった。