そしてついに、
アズールティアへと出発する日がやって来た。
ファティマがどれだけこの日を
心待ちにしていたことか。
自分がいない間の指示を
家臣たちにテキパキと飛ばしていく。
どんなに忙しくたって
この日のことを思えば頑張れた。
それほど楽しみにしていたのだ。
港で船を待つファティマの前に現れたのは――
ラフな青年ではなく、
まるで王子そのものの姿をしたデクランだった。
深い紺の正装に身を包み、
肩には王子の証である家紋入りのマント。
髪は風になびき、
日焼けした肌に正装の青が鮮やかに映える。
その凛々しさに、ファティマは思わず息を呑んだ。
「……デクラン…王子?」
言葉が震える。
実はファティマは
デクランが王子だとは知らなかった。
心臓は激しく打ち、
全身に小さな電流が走るようだった。
デクランは恭しく頭を下げ、
優しく手を差し出す。
「国賓をお迎えするのに、相応しい格好をと思いまして」
その手の温かさと丁寧さに、
ファティマの心は一気にときめく。
普段のラフで無邪気な笑顔とのギャップが、
胸の奥をくすぐった。
「お迎え……ありがとうございます」
言葉に戸惑いながらも、
ファティマはそっと手を握り返す。
デクランは微笑み、そっと船へと誘う。
海風に揺れる髪、潮の香り、
そして彼の温かい手の感触――
すべてが、ファティマの心をざわめかせた。
アズールティアへと出発する日がやって来た。
ファティマがどれだけこの日を
心待ちにしていたことか。
自分がいない間の指示を
家臣たちにテキパキと飛ばしていく。
どんなに忙しくたって
この日のことを思えば頑張れた。
それほど楽しみにしていたのだ。
港で船を待つファティマの前に現れたのは――
ラフな青年ではなく、
まるで王子そのものの姿をしたデクランだった。
深い紺の正装に身を包み、
肩には王子の証である家紋入りのマント。
髪は風になびき、
日焼けした肌に正装の青が鮮やかに映える。
その凛々しさに、ファティマは思わず息を呑んだ。
「……デクラン…王子?」
言葉が震える。
実はファティマは
デクランが王子だとは知らなかった。
心臓は激しく打ち、
全身に小さな電流が走るようだった。
デクランは恭しく頭を下げ、
優しく手を差し出す。
「国賓をお迎えするのに、相応しい格好をと思いまして」
その手の温かさと丁寧さに、
ファティマの心は一気にときめく。
普段のラフで無邪気な笑顔とのギャップが、
胸の奥をくすぐった。
「お迎え……ありがとうございます」
言葉に戸惑いながらも、
ファティマはそっと手を握り返す。
デクランは微笑み、そっと船へと誘う。
海風に揺れる髪、潮の香り、
そして彼の温かい手の感触――
すべてが、ファティマの心をざわめかせた。



