辺境に嫁いだ皇女は、海で真の愛を知る

デクランは言葉を失う。
“想っている”なんて言えるわけない。
言ったら彼女を縛ってしまう。

だけど行かせたくない。
怖い。
失うのが怖い。

ファティマも同じ。
本当はそばにいたい。
でも、自分の人生を取り戻すには、
あの男と決着をつけなければいけない。

どちらも「好き」だと言えば終わるのに……
言えない。
言えないから、余計にすれ違う。

二人の胸の奥にある本音だけが、
互いに届きそうで届かない距離で燻っていた。