「鳴雄サマを隣の県で見失ったんですか?」
「ええ……昨日の夜、探偵から報告がありました」
週末土曜日の朝。
鳴雄サマの弟を名乗る人物。白宮宗志と訳有商店街入り口にあるファミレスで、軽く食事をしながら、話を聞いた。
昨日、金曜日の夜。
鳴雄サマが例の幽霊が出そうなアパートから出たのを確認した探偵の一人が尾行して、隣の県のある町で電車から降りた鳴雄サマを見失ったそうだ。
昨夜からSNSを更新していなかったので、気になっていたがまさか隣の県へ行っていたなんて……。
終電で降りた鳴雄サマが、昨夜のうちに戻るにはタクシーを使うか、知り合いの車に乗せてもらうかぐらいだが、どちらも現実的とは思えない。その町にまだいると考えるのが妥当だろう。
「そっかそっかー。宗志くんだっけ? こんな可愛い弟がいるなんて、アイツも隅に置けないな~」
私、美柑の隣で先ほどからずっとニマニマしているのは親友雛子。
弟君のことを遠慮なくジロジロを見ている。
「アイツのこと、なんて呼んでいるんだっけ?」
「兄さまですか?」
「ふわぁぁぁ⁉ いい……いいよその呼び方」
なんだかこの二人は会わせちゃいけなかった気がしてきた。
「それでボクはこれから隣の県に向かいますが、伊予さんはどうしますか?」
「私、ですか……」
うーん、鳴雄サマがそんな遠くで何をしているのか気になる。
――でも、迷惑だったりしないかな?



