ナルシストと恋は de キュン!





「えっ? はい……わかりました」

 また誰かから連絡を受ける弟君。

「今度は、街外れのゴルフレンジで目撃情報が……」

 この河川敷から軽く5キロくらいは離れている。

 弟君がタクシーを拾って一緒に乗せてくれた。

 車で向かうと、10分もかからないが、自転車なら20分、徒歩なら30分以上はかかる場所。
 
「鳴雄くんなら、さっきまで球拾いのお手伝いをしてたんですけどね」

 早朝からゴルフレンジはやっていて、最初の球拾いをやって帰ったそうだ。
 バイトではなくお手伝い。
 目的は、もちろん布教活動。

 タダでボールを拾う代わりにゴルフレンジ内で「我・壱・鳴・雄☆」という鳴雄サマが自作したと思われる曲を延々と流していたそうだ。

「はい……え~~っ、ホントですか?」

 今度はどこだろう?

 また、目撃情報の連絡らしきものを受けている弟君。

「今、例のアパートから出てきたって言ってます……」

 嘘……ここから河川敷との間くらいの場所にある。
 私たちがアパートの前を離れて約1時間。
 その間にどれだけ移動して色んな布教活動をしてるの?

「うわー、また見失ったそうです」

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「見つかりました。公園で瞑想しているそうです」

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「公園から消えて、今度は訳有小学校に入っていったそうです」

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「見失いました。よく似た人物が、駅前でティッシュを配っていると」


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「信じられないかもしれませんが、今度は街外れの老人ホームに現れたそうです」


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 鳴雄サマを追って、数時間。
 お昼前だが、かれこれ十数か所ほど街の中の色んな場所で目撃されている。

 移動距離だけでフルマラソンできるくらい。
 さすがに弟君も、バテてしまい、いったん商店街の近くのファミレスで昼食を食べようという話になった。