「手がちょっとベチャベチャしてる」
「先ほどの店なら下僕の顔を覚えている。ウェットティッシュをもらって拭けばよかろう」
「じゃあ、私も一緒に」
「ううん、すぐそこだし。雛子は鳴雄サマとここで待ってて」
美柑、さっき綿あめ食べたからな。
私もちょっと迷ったけど、食べたあとのベチャベチャが気になるので、チョコバナナを選んだんだよな。
打ち上げ花火がもうすぐ上がろうかというタイミングで、美柑が先ほど鳴雄が手伝っていた屋台へ向かった。
「始まったか」
1発目の花火はとても天く昇ったところできれいな大輪を夜空に咲かせた。
え……。
鳴雄の顔が目の前……ほんの十数センチのところにある。
更に近づく鳴雄の顔を前に少し顎を上げて目を閉じた……。
「下僕288号よ、目を瞑られたら我が見えないではないか?」
「――へっ?」
目を開くと、私の顔の真横で顔を近づけたまま、スマホをかざしていた。



