「下僕8号と288号よ」
「あっ鳴雄サマ☆」
ふいに私達の席のそばにやってきた鳴雄に声を弾ませる美柑。そしてその弾んだ声を聞いて、なんとなく心の中で色んな感情が同時に生まれてペンキをかき混ぜたようにぐちゃぐちゃになる。
なにやら朝から忙しそうにクラス内外の生徒に声をかけまくっている鳴雄。
残念ながら訳有高校で、彼に好意的なのは私達ふたりと校長、担任教師、学校で半分飼われているも同然の仔猫ぐらいのものである。美柑が言うには校庭の楠も下僕らしいが、特に動いたりするわけじゃないのでよくわからない。
「今度は花火祭りの出店ですか?」
「ふむ、商店街の下僕の一人に頼まれてな」
今回は、手伝いではなく勧誘。
要は鳴雄が出店をやっているので、客として遊びに来てほしいとのお誘いだった。
「是非、行きます!」
「そういうことなら俺も混ぜてもらおうかな?」
――うげっ⁉
周東究流。
この男が、腹黒いのはすでに看破済みなので、美柑に近づけないよう威嚇しているが、気にした風もなく平気な顔で話しかけてくる。



