「やあ、鳴パカくん。遅くなってすまないね!」
「鳴雄だ。名前を間違えないでいただこう」
「おお、ごめんよ、鳴池くん。ほら、これが昨日から水に漬けていたもち米だよ」
「鳴雄、鳴雄、鳴雄、な・る・お……鳴雄。理解してもらえたかな?」
「ははっ、もちろんだよ、鳴美さん。ホントいつ見ても別嬪さんだよ」
「ははっ手強いな。さすが我が下僕だ」
いや、ダメでしょ?
齢90を超えていそうな米屋のお爺さんは、足腰はしっかりしているが、記憶力や認知能力は限界突破していそう。さすがに鳴雄を女の子と見間違うのがヤバいと思う。
あと「鳴パカくん」って何?
アルパカと混ざっちゃったの? 頭の中が錬金術し放題になってるでしょ?
「さて、始めるとするか!」
「ちょっとストップ」
「どうした下僕288号?」
まあ一応ね。
確認しておきたいんだけど……。
「ふむ、餅つきなどやったことはないが?」
やったことないんかーい⁉
念のため聞いてみたが、やはり私の勘は外れていなかった。
ちなみに私も餅つきなんてやったことない。
米屋のお爺ちゃんは、近くにあったゴミ箱に「ほれ、太郎。帰るべや?」とゴミ箱を引きずって帰っていってしまったし、この場には素人ふたりしかいないことを気づいてしまった。



