日直のその日の最後の仕事は、クラスのカギ閉めと日誌を職員室へ届けること。日直は男女一組で、教室のカギ閉めはいかなる理由があろうとも日直当番のふたりで行い、担任へ報告、提出する義務がある。
あー、職員室までの短くも儚い私の【愛の花道】。
わかってる。
鳴雄サマは誰のものでもない。
だからせめて妄想の世界でくらい鳴雄サマと親密になりたい。
――妄想の中では鳴雄サマが大胆。
唇と唇が……。
「うふっ、うふふふっ!」
「ところで下僕8号よ」
「――んあっ! はい、成雄サマ」
ふたりで恋人つなぎして歩いているシーンを妄想して、すっかり顔がだらけてしまったところを鳴雄サマに見られてしまった。ちなみに鳴雄サマの中では美柑は下僕8号とナンバリングされている。
「先ほどから校内が慌ただしいが?」
「ああ、あれはですね……」
美柑も雛子から聞いた話だが、昼休みに訳有高校の敷地内に仔猫が迷い込んだらしい。目撃情報があちこちで寄せられているらしいが、すばしっこくて誰も保護できないでいるそうだ。



