「なんで私の家に? もしかして……会いに来てくれた?」
「おいおい、我が可愛い妹よ」
「うん、なぁに?」
「心の声がダダ漏れで、姉に聞こえているのだが?」
姉の瀬十花がわざわざゲームのポーズボタンを押して、インターホンの前で固まっている美柑の肩に手を回して、ニヤニヤとしている。
「美柑の彼氏?」
「ううん、違うよ。鳴雄サマは私の信仰の対象」
「……すまん、もう1回言ってくれ?」
さすがに信じてもらえないか、この気持ち。
姉瀬十花の予想の斜め上をはるかにブッちぎってしまったらしく、軽く混乱しているのがわかる。
それにしても自動ドアを解錠して数分経つが、いつまで経っても伊予家にやってこない。
「あっ鳴雄サマ☆」
「……というわけだ。後でポストから受け取ると良い……ふむ、下僕8号か」
「そんなところで何をしているんですか?」
「我の前線基地……商店街の手伝いをしておるのだ」
心配になって、外に出るとエレベーターの近くの部屋のインターフォンを押して、カメラを至近距離でのぞきこんで住人と話している鳴雄サマを発見した。
なんか前線基地って言った?
……よく意味もわかんないし、まいっか。



