可愛くなりたい!

「そ、そんな言い方……」

Kanonさんがおすすめしてたから買ったやつなのに。頑張ってメイクの勉強もしたのに。胸の痛みがさらに強くなる。

「似合う人が使った方がメイク道具も嬉しいし、これは私が貰ってあげるよ!」

日陽花ちゃんがそう言い、私のポーチに入れられたメイク道具に手を伸ばす。その時、「やめなよ」という声と共に日陽花ちゃんの手が掴まれた。

「あ、有栖川くん……」

日陽花ちゃんが頰を赤く染める。私も私服姿の渉くんにドキドキした。シャツにデニムパンツというシンプルな格好なのに、モデルさんみたいに見える。

「有栖川くん!深月にこの色のメイクは似合わないよね?このメイクの色はブルベ用でしょ?」

渉くんは私をジッと見つめた。でもその目はとても優しいものだ。

「別におかしくない。むしろ歌川さんに似合ってると僕は思うけど」

望んだ言葉じゃなかったためか、日陽花ちゃんは大声を上げる。

「何でよ!!深月にこんな色似合うはずないじゃない!!」

「あら、そう決めつけるのはおかしいと思うけど」