近くに凪翔くんの顔があって、胸がドキッと鳴った。


「あー……月、大丈夫? 怪我してない?」

固まったわたしを見て、なぜか凪翔くんは困ったように笑う。

「あ、う、うん……! 凪翔くんは大丈夫?」

「俺はへーき。月が無事でよかった」

ふわ、と効果音がつきそうな笑顔で、凪翔くんはわたしの頭へと手を伸ばす。

撫でられるのかと、思わず目をつぶった、けど──数秒経っても触られなかった。