凪翔くんのこと、絶対待たせてるよね……早く待ち合わせ場所に行かなきゃっ……!


……と言っても、なぁ。

「ええっと、ここを左、ここを右……?」

地図のアプリを開いてその通り歩いているけれど、人は多いしそもそもここがどこなのかはっきりわからない。

自分って、もしかして方向音痴なのかなっ……?

ガーンと少しショックを受けながら曲がり角を曲がると、人とぶつかった。

「わっ……」

よろけると、相手の方がわたしの手を掴んで引き寄せてくれた。